パンの名店シェフも絶賛
魅惑のフランス・コニャック原産小麦のうまさの秘密とは?

パンの名店シェフも絶賛
魅惑のフランス・コニャック原産小麦のうまさの秘密とは?

EAT

2025.10.03

3 min read

パンの本場、フランス。数多の日本人がその味に近づこうと切磋琢磨した歴史は日本の製パン技術の底上げにつながった。しかし素材に関していうと、フランスで育った小麦をフランスで製粉した「フランス原産小麦粉」で作られたパンは、実は日本でとても貴重。その理由と、それでも食べたくなるフランス産小麦の魅力を探るべく、フランスの食品輸入卸販売のMON EPOQUE JAPAN株式会社代表の落合朋美さんに話を聞いた。

違いは挽き方にあり。

フランス原産小麦粉と、北米産などの小麦粉には、どのような違いがあるのでしょうか?

  • 落合

    フランスの小麦は粒度が荒く製粉されているため、灰分(かいぶん、小麦胚芽や麦ふすまなどの部位に含まれるミネラル成分)が多く、旨味が残るのです。バゲットを作るのに向いていて、香ばしさと香りが強く、噛めば噛むほど余韻が残るのが特徴です。一方、北米産の小麦は粒度が細かく灰分含量が少ないため、食パンなど軽い食感のパンを作るのに向いています。決してフランス産だからよい、フランス産でないとダメというわけではなく、それぞれのよさがあります。

小麦、水、塩、イーストのみを使用した、フランスパンの代表格、バゲット。材料がシンプルだからこそ、小麦そのものの味わいが重要になってくる。

旨味の正体は「遊離アミノ酸」。

  • 落合

    またフランス産小麦には「遊離アミノ酸」(グルタミン酸はその一種)も含まれており、旨味に富んでいるのも特徴です。アミノ酸にはタンパク質の構成成分としての「タンパク質構成アミノ酸」と、アミノ酸単体で存在する「遊離アミノ酸」というものがあり、遊離アミノ酸はフランス産小麦ならではの旨味や酸味、甘味のもとになっています。

ライ麦、全粒粉のパンはとくにミネラル分が多く、旨味、香りが豊か。

日本にほとんど出回らない!

日本にはたくさんフランスパンの店がありますが、フランス原産小麦粉のパンが買えるところは少ないのでしょうか。

  • 落合

    日本のパンの大部分はアメリカやカナダなどの北米産小麦粉、日本国産小麦粉で作られています。フランス産小麦粉はそれらの割合に対してほとんどないと言っていいのではないでしょうか。

なぜ少ないのでしょうか。

  • 落合

    歴史的に、日本に輸入されている小麦粉は北米産が大きなシェアを占めており、大量輸入による低価格が背景にあります。そのためフランス産小麦粉は割高に見えてしまうのです。さらに、良質なフランス産小麦の多くはフランス国内で消費されてしまうため、日本にはなかなか入ってこない事情もあります。

     

    弊社が日本で独占的に輸入しているベロ社(BELLOT)の小麦粉は、西部のサン=メクサン近郊のジョフレ・サン=マルタンにある家族経営の製粉所で生産されており、半径70km以内で収穫されたコニャック地方の小麦を使用しています。近い距離で時間を置かず製粉するので、その土地ならではのテロワールが保たれ小麦本来の味わいを存分に楽しむことができます。ベロ社はフランス国内に数多ある製粉会社の中でもシェア上位12社に入りますが、日本ではまだ流通していません。年内には販売開始する予定です。

国産やフランス産小麦のパンが評判の大阪の名店〈ル・シュクレクール〉岩永 歩シェフ。ベロ社のコニャック産の小麦粉の香りに魅了され、試作を快諾した。

  • 落合

    ベロ社の小麦粉を日本でPRするにあたり、大阪〈ル・シュクレクール〉の岩永 歩シェフにパンを試作していただいたのですが、「袋を開けた瞬間、記憶を呼び覚ます『フランスの香り』に鳥肌が止まらなかった。袋に顔を突っ込んで、ずっと嗅いでたいくらい」とまで言っていただいて。

    日本には優れた技術をもつパン職人さんが数多く存在します。また、フランスで修業を積まれたトップシェフもたくさんいらっしゃいます。だからこそ、この上質なコニャック産小麦を扱っていただける方がもっと増えていけばと願っています。

     

TRaNSIT STORE 購入する?

ABOUT
Photo by

Yayoi Arimoto

NEWSLETTERS 編集後記やイベント情報を定期的にお届け!