1904年2月17日、ジャコモ・プッチーニのオペラ『蝶々夫人』がイタリア、ミラノのスカラ座で初めて公演されました。
三幕から成るこの作品は、愛と裏切りという普遍的なテーマのもと、東洋と西洋の文化の衝突をドラマティックに描き切ったプッチーニの代表作の一つです。
1907年2月28日にグランド・オペラ・ハウスで初演された際の1シーン。
物語の舞台は19世紀末の長崎。アメリカ海軍の士官ピンカートンは、美しい日本人芸者「蝶々さん(蝶々夫人)」と結婚します。しかし彼にとってそれは一時的な関係にすぎず、彼女を残してアメリカへ帰国。純粋に彼を愛し、帰りを待ち続ける蝶々夫人は、彼との間に生まれた子供とともに、希望を胸に彼の帰還を信じていました。
衣装スケッチ。
© Daniel Azoulay for Florida Grand Opera
3年後、ピンカートンはアメリカ人女性と正式に結婚。蝶々夫人の子供を引き取るために再び長崎を訪れますが、彼の裏切りを知った蝶々夫人は絶望し、我が子を託した後、自ら命を絶つという悲劇的な結末を迎えます。
© Carlo Raso
『蝶々夫人』は、初演当初、東洋文化への理解不足や、長すぎる第2幕などを理由に観客から大きな批判を受けました。しかし、プッチーニは作品を改訂し、短縮版を制作。その後の再演で大成功を収め、現在では世界中のオペラハウスで定番作品となっています。
© Quincena Musical
愛、裏切り、絶望といった普遍的なテーマを描きながら、日本文化を取り入れた音楽で独自の世界観を作り上げた『蝶々夫人』。プッチーニの繊細なメロディーとドラマティックな展開が、今なお世界中のオペラファンを魅了しつづけています。
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