世界各地には、その土地の風土や信仰、人びとの熱気が織りなすユニークな「お祭り」が存在する。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、オセアニアの伝統行事から現代社会が生み出したユニークなイベントまで、地球の隅々で繰り広げられるお祭りについて、月ごとに解説!
ここでは、2026年の4月、5月、6月の世界のお祭りを15こピックアップ。ソンクラーンや夏至祭といった夏を感じるお祭りから国際的な芸術の祭典まで、各地の自然の恵みや固有の文化・信仰、創造性を感じられる多彩なお祭りの数々をどうぞ。
*本記事の内容は、掲載時点での参考情報です。正確な開催日程・場所・内容については、各お祭りや自治体の公式発表をご確認ください。
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4月のお祭り
🗓2026年3月29日-4月5日予定(カソリック、プロテスタント系)、4月5日-12日予定(正教会系) *毎年3月下旬から4月下旬頃、復活祭(イースター)の一週間前から始まる
📍イスラエル・エルサレム
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イエス・キリストのエルサレム入城、受難と死、そして復活までの一週間を思い起こす時間で、旧市街の石畳は世界中から訪れた巡礼者で埋め尽くされる。毎日、街のどこかで祈りや儀式、祝賀の行進が行われる。
「棕櫚の主日」から「復活祭の日曜日」までつづく公式行事のなかで、もっとも胸を打つのがキリストが亡くなった日に行われる「聖金曜日の行列」だ。独特の衣装に身を包んだ信者たちが十字架を掲げ、歌い、祈りながら、イエスが歩んだ苦難の道(ヴィア・ドロローサ)を進んでいく。
エルサレムは一年を通して祈りの空気をまとう街だが、この「聖週間」はさらに濃い霊性が宿るひととき。古代の路地の静けさと巡礼者の熱気が入り混じる聖週間のエルサレムには、訪れたものの心を揺り動かす力があり、その光景に立ち会うことは忘れがたい体験といえる。
🗓2026年4月4日-6日 *毎年4月5日前後
📍中国各地
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先祖供養と春の訪れを祝う中国の伝統的な行事で、日本のお盆のように親族が集まってお墓参りをする日。春分から15日後の二十四節気「清明」に由来する祝日で、種まきの目安にもなっていた。
お墓を掃除して、食べ物やお酒をお供えして、線香をあげて、紙のお金を燃やして、祖先を供養する。清明節は「踏青節(とうせいせつ)」とも呼ばれて、春に芽吹いたばかりの青草を踏みながら野山で遊んだり、凧揚げをしたりして、春の訪れを祝う。
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🗓毎年4月13日-15日
📍タイ各地
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ソンクラーンは、タイの旧正月で新年の始まりを祝う伝統行事。毎年4月13日から15日の3日間にわたり、参加者は水鉄砲やホース、水を入れたバケツを手に、通りを行き交う人びとと水かけ合戦を繰り広げる。バンコクをはじめ各地で催しが行われ、地元の人だけでなく多くの旅行者も参加し、街中びしょ濡れの人びとで賑わう。お祭りの期間中は水をかけられる可能性があるので、街を歩くときは濡れてもよい服装や防水バッグの準備が必須。
近年では、そんな「水かけ祭り」として広く知られているが、起源は仏像や年長者に香水を振りかけて清め敬意を表すともに邪気を払って豊かな雨と実りを願うタイの伝統的な風習からきている。2023年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されている。ソンクラーンは、伝統と現代の活気が交わるタイを代表する祭りなのだ。
🗓2026年4月21日-26日予定 *毎年4月
📍イタリア・ミラノ
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正式名称「ミラノサローネ国際家具見本市」は、1961年からつづく世界最大級のインテリアの見本市。毎年4月、ミラノのロー・フィエラの会場に世界中から2,000を超える創造性あふれる企業が集い、家具、照明、装飾品、キッチン、バスルームまで、デザインの今を体現する展示が並ぶ。奇数年開催のユーロルーチェ、偶数年のユーロクッチーナと国際バスルーム展、若手の登竜門サローネサテリテなどの催しが同時開催され、例年、世界中から30万人以上のインテリア業界やデザイン好きな人びとが訪れる。
ミラノ市内では著名デザイナーによる関連イベントも繰り広げられ、街全体がデザインとクリエイティビティに満ちた空間になる。ビジネスの場でありながら文化的価値を併せもつ見本市として、世界のデザインシーンを牽引しつづけている。
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🗓2026年4月27日-5月3日 *毎年4月末から5月頃
📍南アフリカ・タンクワ・カルー
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アフリカバーンは、南アフリカ西ケープ州のタンクワ・カルー(Tankwa Karoo)という半砂漠地帯に、たった一週間だけ現れるコミュニティイベント。
米国ネバダ州の野外イベント「バーニングマン」のアフリカ版とされ、バーニングマンの10原則(脱商品化、自己完結性、自己表現、痕跡を残さないなど)に加えて、アフリカバーン独自の「Each One Teach One(一人一人が教え合う)」の原則がある。
参加者は会期中の食べ物や飲み物、住処まで、生活に必要なすべてのものを持ち寄り、砂漠の一画に仮想都市を創りあげる。そこで繰り広げられるのは、奇妙な姿で走るミュータントビークル、巨大アートやパフォーマンス、コミュニティにおける生活空間でありながら参加者の交流の場としても機能するテーマキャンプなど、形も目的もさまざまな実験的アートプロジェクトたち。祭りが終われば、参加者たちはゴミも含めて持ち帰り、すべては解体され、跡形もなくなり、もとの風景だけが残る。
5月のお祭り
🗓2026年5月12日-23日予定 *毎年5月
📍フランス・カンヌ
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カンヌ国際映画祭は、フランス南部のカンヌで毎年5月に開催される映画祭。ヴェネツィア国際映画祭、ベルリン国際映画祭とともに「世界三大映画祭」のひとつとされている。
最高賞は「パルム・ドール」と呼ばれ、芸術性と革新性を備えた作品に贈られる。レッドカーペットを歩く世界的スターの姿や、各国の映画人が集う華やかな雰囲気でも知られ、まさに世界の映画の祭典。映画業界の動向を占う場でもあり、多様なカテゴリーが設けられていることもあって、映画制作者、俳優といった映画に関わるさまざまな才能を世界に広める場でもある。
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6月のお祭り
🗓2026年6月6日-7日予定 *毎年6月の第一週の週末を中心に開催
📍ブルガリア・カザンラク
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オスマン帝国時代にバラの栽培が伝わったブルガリアは、実は世界有数のバラの生産地。とくに香り高い品種のダマスクローズの栽培が盛んで、高品質なローズオイルを生産している。なかでもブルガリア中部のカザンラク(Kazanlak)がバラの都として有名で、その街を中心に毎年6月初旬のバラの収穫を祝ってバラ祭りが開かれる。
期間中は、バラ摘み体験やパレード、民俗舞踊、バラ製品の展示販売などが行われ、街全体が華やかな香りと色彩に包まれる。毎年、地元の若い女性から「バラの女王」が選ばれて、バラにまつわる文化を広める役割を担う。
© macondo
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🗓毎年6月頃(旧暦の端午節の頃)
📍中国・貴州
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端午節の頃になると中国各地で行われるのが、ドラゴンボートフェスティバル。水の神や祖先への感謝、豊作と平安を祈るお祭りで、とくに中国・貴州省のミャオの民のドラゴンボートレースは荘厳。伝統衣装を身にまとった人びとが細長く優雅な形をした龍船に乗り込み、力強い太鼓のリズムに合わせて、船の上に立って船を漕いで川を進む。
祭りの期間中には、歌や踊りのほか、伝統料理が振る舞われて、地域全体が活気に満ち溢れる。
© John Meckley
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🗓毎年6月12日、13日
📍ポルトガル・リスボン
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「聖アントニオ祭」は、ポルトガルの首都リスボンで毎年6月12日から13日にかけて行われるお祭り。リスボンと縁結びの守護聖人である聖アントニオを祝う行事で、街中が色鮮やかな飾りと音楽でにぎわう。
とくにお祭りに欠かせないのが、お祭りのタイミングで旬を迎えるイワシの炭火焼き。リスボンの下町アルファマやバイロ・アルトを中心に屋台が立ち並び、香ばしい煙が広がる。各町内会が趣向を凝らした衣装と踊りを披露するパレード「マルシャス」もあって、市民も観光客も一体となって盛り上がる。リスボンの初夏の風物詩だ。
🗓2026年6月17日-6月27日予定 *一年を210日とする「ウク歴」に沿って行うので毎年日にちが変わる
📍インドネシア・バリ
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「ガルンガン」と「クニンガン」は、インドネシア・バリ島でもっとも重要とされるヒンドゥー教の祭礼。ガルンガンは善の勝利を祝う日で、先祖の霊が家族のもとへ帰ってくる日。家々やお店の前には竹でつくられた長い飾り「ペンジョール」が立ち、寺院では祈りが捧げられる。10日後のクニンガンは先祖の霊が天界へ戻る日とされ、黄色い供物が用いられる。
期間中はバリ島全体が特別な雰囲気に包まれ、伝統衣装を身にまとった人びとが寺院詣でを行い、家族とともに精神的なつながりを深める時間を過ごす。
🗓2026年6月19日-20日 *毎年夏至に近い週末に行われる
📍スウェーデン各地
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夏至祭は一年でもっとも日が長い夏至の時期に合わせて、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、バルト三国など、北欧各国で行われる伝統的な祝祭。スウェーデンでは「midsommar(ミッドソンマル)」とよばれ、毎年6月中旬の金曜日と土曜日を中心に全国で盛大に祝われる。
象徴的なのは、花や葉で飾られたメイポール(マイストング)という柱の周りを輪になって踊る習慣。家族や友人が集まり、ジャガイモ、ニシンの酢漬け、イチゴなどを食べたり蒸留酒のスナップスを飲みながら野外で過ごす。自然の恵みに感謝し、長い冬を越えた喜びを分かち合う日であり、スウェーデン人にとってもっとも大切で待ち遠しい祝日の一つ。白夜の光の下、昼から夜まで短い夏を楽しむ。
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🗓2026年6月20日-22日予定 *毎年6月から7月頃(旧暦7月)
📍タイ・ルーイ県ダーンサーイ
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タイ東北部のルーイ県ダンサーイ(Dan Sai)で、毎年6月から7月頃に開催される伝統的な精霊祭り。雨季の訪れを告げ、豊作と地域の安寧を祈る仏教行事で、仏教説話「プラ・ウェート物語」に由来するといわれている。
お祭りの名前が、タイ語で「ピー(霊)」「ター(目)」「コーン(仮面劇)」を表しているように、カラフルな仮面と衣装を身にまとった人びとが、太鼓や鐘の音とともに街を練り歩く。仮面は竹や椰子の葉などでつくられ、ユーモラスで少し不気味な表情が印象的。祭りでは伝統音楽に合わせた踊りや宗教儀式が行われ、地域全体が熱気に包まれる。タイの民俗文化と信仰が融合した独特の祭り。
🗓毎年6月24日
📍ペルー・クスコ
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太陽神インティを讃えるペルーの伝統的な祭典。インカ帝国時代の冬至のお祭りが起源とされていて、毎年6月に行われる(ペルーは南半球に位置しているため6月が冬至になる)。かつて皇帝が主導した重要な祭礼で、現在は壮大な歴史再現劇としてよみがえり、多くの観光客を魅了する。
祭りはコリカンチャ(太陽の神殿)での儀式に始まり、色鮮やかな衣装をまとった参加者が音楽とともに行進してアルマス広場での儀式へつづき、その後、サクサイワマン遺跡では劇によって太陽への感謝や豊穣祈願が表現される。クスコの街全体が祝祭ムードに包まれ、アンデス文化を味わえる。
© Junior Córdova
© Junior Córdova
🗓2026年6月27日-28日予定 *毎年6月の最終週末
📍アメリカ・サンフランシスコ
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1969年6月28日、警官がゲイバーに踏み込んだことを発端に起きた「ストーンウォールの反乱」の事件から、6月は「プライド月間」としてLGBTQ+の権利を啓発するイベントが世界各地で行われている。とくに世界最大級のLGBTQ+コミュニティの祭典となるのがサンフランシスコ。音楽、ダンスとともに多様な人びとが街を練り歩き、平等と尊厳を祝福する。
1970年代に始まったこのパレードは、公民権運動としての側面をもつと同時に自由と個性を称える華やかなイベントとして発展。一般市民や企業、行政機関も加わって、社会全体で多様性を支持する姿勢を示す。
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🗓2026年6月29日-7月5日予定 *毎年6月末から7月頃
📍トルコ・エディルネ
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トルコの伝統スポーツ「ヤールギュレシ(オイルレスリング)」の最大規模の大会で、毎年6月から7月にトルコ北西部の街・エディルネで開催される。選手たちは革製の特製ズボンを着て、オリーブオイルを全身に塗って試合に臨む。
ちなみにトルコは世界有数のオリーブオイル生産国でもある。
試合は力と技術のぶつかり合いで、オイルで滑るため投げ技や関節技の難易度が非常に高く、観客を熱狂させる。大会は500年以上の歴史を誇り、トルコ文化を代表するものとして国内外で注目されている。