本当にあったインド旅の
トラブル&珍事体験談

月刊TRANSIT/みんなのインド旅計画

本当にあったインド旅の
トラブル&珍事体験談

TRAVEL&LEARN

2025.01.22

7 min read

インドを旅するのは、一筋縄ではいかないこともある。それでも一生に一度は行きたい、 はまったら何度だって行きたい、ほかに代わりのきかない唯一無二のインドを旅したい! そんなインド熱に浮かされた人たちにおくる、月刊TRANSIT「みんなのインド旅計画」。

お腹を壊したり、高熱で寝込んだり、列車が3時間遅れたり……。もはやパッケージツアーのようになっている(?)インド旅のトラブルや珍事。毎日あり得ないことが起こるといわれるインドでは、旅する場所や人によって遭遇する体験もさまざま。今回はTRANSIT読者からのお便りをもとにお届け。これを読んでインド旅の心の準備をしてみて。

Text:TRANSIT Illustration:Atsuya Yamazaki

命が一番

10年以上前、デリーからジャイプルへローカルバスで向かっていたときの話。出発直後、ドライバーが道を間違えたり、爆笑したりとなんだか嫌な予感。しばらくしてウトウトしていると、隣りの席の男性がバスの通路を飛び出してぶつかってきたのです。混乱したのも束の間、次の瞬間、私は逆さまになり頭をアスファルトに引きずられていました。そう、バスが横転していたのです。私は救急車で運ばれ、運よく頭を数針縫う程度で済みましたが、バスで帰れといわれ泣く泣く再びバスに……。その後、包帯ぐるぐる巻きの頭でインドを旅しました。/蘭ハチコより

  • 編集部
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    いきなり強烈すぎるエピソードをいただきました! インドだけでなく世界中どこでも交通事故のリスクはあるものですが、まずは命が無事でよかったです。包帯ぐるぐる巻きも、インドならターバンに見えなくもない……?「中長距離の移動は列車、もしくはツーリストバスがあればそちらを選んだほうがよいかもしれません」(蘭ハチコ)とのアドバイスも添えていただきました。

帰国後もつづく洗礼

6年前、バラナシで病気になりました。夕方から急激に体調が悪くなり、そのままうなされるように夜を迎えました。それが1週間つづき、あえなく帰国。日本の病院に行った結果、日本にいるとまずかかることのない「ジアルジア症」にかかったことが判明しました(主な症状は、下痢、腹痛、吐き気、腹部の膨張感など)。体調不良は2カ月つづき、インドの洗礼を受けたのでした……。/ミヤタヨウスケより

  • 編集部
    コメント

    インドで体調を崩すことはもはや必ずついてくるオプションのようなものですが、帰国後2カ月はさすがに長いですね(涙)。「インドの病気には日本の薬よりインドの薬のほうが効くそうです。体調不良になったらまず現地の病院へ」とのコメントもいただきました。

思いがけずヒッチハイク旅

南インドのカヌールからバンガロールに向かう夜行バスに乗車していたときのこと。故障により電波がない山奥で強制的に降ろされ、代替のバスにも定員オーバーで乗れず絶望していたところ、青年2人に声をかけられヒッチハイクの誘いを受けた!
 
その後、無事に車が捕まり、バンガロールまでの運転を条件に乗せてもらい、翌朝何とか目的地まで着きました。インドの道路はスピード超過防止のため、バンプが一定の間隔で設置されており、車体がよく跳ねるなか、懸命に運転してくれた青年たちに大感謝です。到着した朝、青年が分けてくれたspriteをみんなで飲んだ思い出は、きっと今後も忘れません/JTより

  • 編集部
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    逆境が最高の思い出に変わる素敵なエピソードですね!さらっと書かれていますが、夜行バスが止まって代替のバスに乗れない時点でかなりのトラブルかと思われます。JTさんからのインド旅のアドバイスとしては「毎日ビオフェルミンを飲めば何とかなります!」だそうです。

インドトラブルのフルコース

デリーからバラナシに移動する寝台列車内と、バラナシからデリーに帰る飛行機内で、1週間で二度財布を盗まれた。ガンジス河で泳いだ3日後に体調が悪化し、帰国後の免許合宿では40℃の高熱と止まらない下痢に苦しむ羽目になった。ガンジス河には予定に余裕があるときを除いて入らないほうがいい。/Ryuより

  • 編集部
    コメント

    まさにインドを象徴するようなトラブルの嵐……。冷静なアドバイスもありがとうございます。インドを訪れた人は「ハマってしまった」と「二度と行かない」の二手に分かれるといいますが、その後、Ryuさんが再びインドを訪れる日はあったのか、気になるところです。

到着直後の不幸な報せ

国内線で地方空港に着いた瞬間、空港スタッフが近づいてきて、友人のロスバゲが告げられました。とりあえず現地マーケットに行きパンツをゲット!/あずきより

  • 編集部
    コメント

    トラブルにも動じることなく、次に何をすべきか瞬時に判断できていてさすがです! ただ、なぜ空港スタッフは到着直後にロストバゲージしたことがわかったのか、その後、無事に荷物が戻ってきたのかも気になります。本当に失いたくないもの、すぐに使うものは手荷物が安心かもしれないですね!

老女に席を譲ってみたら

珍事というか……チェンナイのバスでおばあちゃんに席を譲ったらうれしそうで、おばあちゃんが降りてもいっぱい手を振ってくれた。インド在住の友人曰く、その老女はカーストの低い人で、席を譲ってもらうことが普段はないんだろうって。土ぼこりの舞う車窓に小さくなっていったおばあちゃんの姿を思い出します。こんなこと書く機会をくださってありがとうございます。/ごんじょわより

  • 編集部
    コメント

    こちらこそ素敵なエピソードをありがとうございます……! とにかくインドでは、人より1ミリでも前に行こうという力がすごすぎて、順番を律儀に守っていたらチケットの一枚も買えないですもんね。きっと日本人の株も上がっていると思います!

生きてるだけでいい

その1
帰国日にニューデリーのマーケットで財布とパスポートとiPodが入ったポーチを盗まれた。空港行きのバスの車内でようやくそのことに気づき戸惑っていると、はやく警察と大使館へ行きなさいとバスに乗車していたインドの方たちが、リキシャに乗るためのお金を恵んでくれた(号泣)。その後、警察で聴取をして、情けないやら不安やらでめそめそしながら在インド日本大使館へ行くと、インドで行方不明になった日本人の顔写真入りのチラシが壁一面に貼られていた。涙が止まった。

 

その2
ニューデリーの通りで信号待ちをしていたら、少年(10歳くらい)にピンポンダッシュならぬ胸タッチダッシュされた。走り去る少年が振り向きざまにニカッと笑った姿が忘れられない。/KIKI Sarasvatiより

  • 編集部
    コメント

    インドを旅していると、生きているだけで万々歳、みたいな気持ちになることがありますよね。

インドの愉快な動物たち

その1
マナリに滞在していた日の夜、思い立って隣り村・バシストの温泉へ行こうと歩き始めたら、道端から犬が2匹出現。先導をきってバシスト村の入り口まで1時間ほどの道案内をしてくれた。その旅では交尾中に抜けなくなった犬に2回出合った。

 

その2
バラナシで泊まっていたホテルの窓を開けっぱなしにしていたら猿が乱入してきて常備薬を盗まれた。/あさねより

  • 編集部
    コメント

    環境が変わると、同じ犬や猿といった動物たちでも行動倫理が変わるのでしょうか。ちなみに上記エピソードとは関係ありませんが、「インド人はスケベです。下心のある人が多いので、女の人は気をつけてほしいです。男性と一緒にいても痴漢してきます」(あさね)という興味深いアドバイスもいただきました。

巧みなスパイス使い

マンゴーやグァバのアイスやジュースを買ったけれど、中に唐辛子やクミンなどが入っていることが普通にある。/ももこより

  • 編集部
    コメント

    スパイス使いにおいては世界的に名の知られたインド人ですが、それは果たしておいしいのでしょうか。口にした人のみぞ知る、ということですね。「人口が14億もいるので、悪い人に会う確率も(とくにツーリストエリアでは)上がるけれど、いい人に会う確率もあるはずなので、偏見をもたずに旅してほしい!」(ももこ)とのこと。

困難を乗り越えて

10年近く前、当時付き合っていた彼とチャンディーガルへ行った帰り道。ニューデリー行きの列車に乗り込むもAC付きの席が取れず、一番安い車両で数時間乗車していた。そのとき隣の席になったインド人と仲よくなり、途中停車した駅で彼とインド人が煙草を吸いに列車を降りた。その後、何分たっても2人は帰って来ず、「拉致されたのでは?」と私はひとりパニックに。私の様子を見た周りの乗客も焦り出し、携帯を貸してくれたりほかの車両を探しに行ってくれたりした。
 
20分ぐらいしたらまた別の駅に止まり、2人が青ざめた顔で戻ってきた。話を聞いたところ、喫煙中に列車が動き出し焦って飛び乗った車両が貨物車両で通り抜けできなかったようだ。今までで一番生きた心地のしなかった忘れられない思い出。のちにこの出来事がきっかけで彼と結婚しました。/miより

  • 編集部
    コメント

    本当にあった怖い話かと思いきや、悶絶するほどうらやましいエピソードでした! たしかにインドはときに乗り越える困難が多いので、人生の伴侶を見極めるにはよい国かもしれません。

リキシャの限界

タージマハルの近くの宿に行くために、大荷物のバックパッカー2人でリキシャに乗ったら、下り道でブレーキが効かなくなって壁に追突した。/マスより

  • 編集部
    コメント

    シンプルな投稿ながらインパクト大なエピソード! 坂の下にあるホテルに向かうときは、大荷物でもなるべく徒歩移動しようと思います。

     

よくある手法

バラナシの火葬場へ行ったときのこと。うん千年途絶えていない聖なる火のそばをタダでガイドするというインド人。「日本はインドにたくさん援助をしてくれているから大好きなんだ」と親日の様子で気を許しました。連れて行かれた近くの洞穴には、司祭のような別のインド人が。火をおこすのに必要な薪代をドネーションしろとうるさい。「タダって言ったじゃん」と最初のインド人に伝えるも「ぼくはタダだけど彼には払わないと」と。罵声を浴びせられながら払わずに別れました。/磯 良斉より

  • 編集部
    コメント

    マニカルニカーガートでしょうか。私もまったく同じ状況に陥り、走ってバラナシの細い路地を縦横無尽に逃げました。金額も4000ルピーと、かなりの金額を提示されました。あと、ガート近くで勝手に眉間にティルカを塗って金銭を要求するサドゥ(風の人?)にもご注意です。

     

予想を裏切るパッケージツアー

14年前、連休が月に1回あるかないかというシフト制の販売業で社会人3年目だった私が、この3年で2回目の5連休をゲット。思い立ってインドへ弾丸で行きました。海外は2回目で、初めての1人旅、初めてのインド。バックパッカーに憧れていた私は、それならやっぱりインドだろ!と勝手に思い込んでいまいました。しかし、慣れない海外で休みも5日間しかない。バックパッカー!と意気込んだ割に怖気づいた私は、結果的にパッケージツアーを申し込むことにしました。
 
インドの空港に到着すると、迎えに来られていたのは私1人。ツアー内容には「乗り合いバスで移動します」と書かれていたので、ほかのツアー参加者とともにバス移動と思っていたけれど⋯⋯。到着は夜だったので、その日はそのままホテルへ直行。移動はバスではなく、普通の乗用車。ドライバーさんとガイドさんは1人ずついたものの、自家用車感が否めませんでした。きっと違う便で来ている人もいるだろう。明日からはバス移動かーと思って眠りにつきました。
 
翌朝迎えに来たガイドさんが車へと私を誘います。昨日と同じ自家用車でした。蓋を開けてみたら、この乗用車にガイドさんとドライバーさんと私の3人旅。格安なパックツアーだったはずなのに、なんとも豪勢なインド旅に。インドに到着した時点で民族衣装のプレゼントがあったり、チャイ休憩のたびにガイドさんがすべてお茶代を奢ってくれたり、どこに行ってもずっと写真撮影をせがまれて(日本人が珍しかったのか)、ハリウッドスター気分に! 激安ツアーだったのに素晴らしいサービスで衝撃でした。なんか思ってたインド旅行と違う!笑笑、そんなインド旅行でした。/みどりより

  • 編集部
    コメント

    自家用車と聞いた時点で事件の匂いがするなどと思ってしまった自分はかなりすれているのかもしれません。こんなにも羨ましいインド旅があるでしょうか? なんか思ってたインドエピソードと違う! 同じような経験(パッケージツアーと思って現地に着いたらプライベートツアーだった)をスリランカでしたことがあると話していた編集部員もいました。

鉄道は永遠の課題

インドの鉄道において、目的の列車だけがまったく乗り場案内が表示されなかったことがありました。発車予定時刻になったため、駅員さんに聞いてみるも解決せず……。結局1時間後に掲示板が更新され、列車がやってきたのはさらに30分後でした。トータル1時間半の遅延だった。/ブトウムより

  • 編集部
    コメント

    あれ、本当になんなんでしょうね……。何分前に表示されるのかも定かではないし、いつも乗るまで本当に気が気じゃないです。ちなみに私は1月の北インドで4回電車に乗りましたが、平均9時間遅れで宿代が一泊分不要になったこともありました。そして下記の通り、超詳細な注意事項までお寄せいただいたのでぜひご参考にしてください!

     

     

    【インドの鉄道について】
    ・乗り場を間違えないよう、列車番号とプラットフォーム番号をよく照らし合わせる。また、乗りたい車両が進行方向に対して何番目なのかを、看板などで確認する。列車は平均20車両あるため、方向を誤るとプラットフォームをかなり歩く羽目になる。
    ・インドの鉄道アプリ「ixigo」は遅延状況を確認するのには有効だけど、プラットフォーム番号(乗り場情報)が異なる場合がある。必ず駅の掲示板を見ておく。
    ・ixigoやIRCTC(インド国鉄公式サイト)でオンライン予約する際、クレジットカードの決済でエラーが出る場合がある。その際は諦めて駅の窓口で買う。窓口は混雑していて声が聞こえにくい場合があるので、列車番号 / 出発駅 / 行き先 / 日程 / 希望する座席をメモして渡すと、やりとりがスムーズになる。
    ・駅窓口前に旅行者を騙すインド人グループがいることも。券を購入する列に並んでいると、親切心を装って、どの町に行きたいのか尋ねてきて、「今日はその町に列車で行けない」「そのチケットは完売した」「車で行く方法がある」などと旅行会社に強引に誘導しようとする場合も。疑わしいと思ったらついていかないこと。駅員に訪ねるようにしよう。

最後に、編集部員が遭遇したトラブルを!

ジャイプルで現金が足りなくなり、ハワー・マハル(風の宮殿)近くの大きな交差点の傍にあったATMでキャッシングをすることに。500ルピーをおろそうと金額を入力するも、なぜか200ルピーしか出てきません。なんでもインドのATMでは現金の在庫が足りず、希望金額より少ない額しか出てこないことがよくあるそう。明細も出てこなかったので、それ以上操作はせずあきらめました。
 
そして帰国後数カ月がたった頃、カードの利用明細を見て驚愕。なんとジャイプルのATMの提携先の銀行から9万9000円もの引き落としが。エポスカードに問い合わせたところ、インドではUSDやEUR同様日本円を小数点第2位まで換算するミスがよくあるのだそう。つまり、本来500ルピー (990円相当)の引き落としが、100倍請求の50,000ルピー(9万9000円相当)なってしまっているというのです。それも結果的に200ルピーしか出てこなかったのでそもそも水増し請求ではありますが……。
 
さらに、エポスカードからVISAを通じて申し立てできるのが120日以内であり、気づいたのが124日目だったため申し立てすらできず。ATMの大元であるムンバイの銀行へ連絡するも、顧客ではない外国人観光客用の問い合わせ窓口はなく、電話をするもAIが同じことを繰り返すばかり。これは今後一生分のインドへのお布施だと思い、泣く泣く9万9000円を献上することにしました。

さまざまなエピソードを取り上げましたが、インドは決して修羅の国ではありません。台湾や韓国、タイやベトナムなど、ほかのアジアの国に比べれば少々試練が多いような気もしますが、その分、人を成長させてくれる国でもあると思います。
 
準備と予備知識、現地での心づもりがあるだけで防げるトラブルも多いはず。ぜひ先入観にとらわれず、予測不能な未知のインド旅を存分に楽しんでみてください!

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Yayoi Arimoto

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