イスラーム文化圏の作品を集めた特集上映「イスラーム映画祭10」が東京・名古屋・神戸の三都市で開催されます!
「イスラーム映画祭10」が、東京・渋谷ユーロライブ2/20〜24をかわきりにはじまります。
今年2025年はイスラーム映画祭の開催が10回目を迎えると同時に、ボスニア紛争の終結から30年の節目にあたる年。2018年から毎年上映しているパレスチナ映画に加え、政情不安や内戦がつづきながらもめったに報道されることのない「サブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南)」・「サヘル(サハラ砂漠の南縁)」地域の最新映画を小特集。スーダン、ブルキナファソの映画が日本初公開されます。
ほかにも、南アジア系移民が多く暮らすイギリスや、チュニジア、セネガル、ドイツ、イラン、インド、パキスタンなど、世界各地を舞台とした全12作品のラインナップ。日本初公開7作品を含む、いずれも劇場ではめったに観られない貴重な作品です。また、上映後は世界各地の“今”を語るに相応しい気鋭の研究者を迎えた全11回のトークセッションも開催!
ガザ地区停戦の合意が発表され、今まさに大きく揺れ動いているパレスチナ問題。この問題と切り離すことのできないイスラームの文化と人びとの暮らしについて、映画を通して世界の多様性を知れる機会です。ぜひ劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
イスラーム映画祭主宰者の藤本高之さんによる、ガザを舞台にした映画と文学案内もあわせてどうぞ。
本記事では上映作品の中から一部をご紹介します。
アーメッドが見せる移民ルーツの複雑なアイデンティティ
Mogul Mowgli ※日本初公開
パキスタン系の英国人俳優でラッパーのリズ・アーメッドが、自身のアイデンティティを投影した作品です。自己免疫疾患で倒れ、ルーツと向き合わざるをえなくなった主人公の混沌とした内面を、独創的に演じています。
監督:バッサーム・ターリク
2020年/イギリス=アメリカ/89分/英語、ウルドゥー語
2人の女性の関係に混迷のスーダン史を重ねた良質なドラマ
Goodbye Julia ※日本初公開
夫の命令で歌手をやめたモナはある日、自分の過失から取り返しのつかない悲劇を招く。南スーダン独立前を背景に、ある事件を機に出会った北部人のムスリム女性と南部人のキリスト教徒女性の日々を描いたドラマです。
監督:ムハンマド・コルドファーニー
2023年/スーダン=エジプト=ドイツ=フランス=サウジアラビア=スウェーデン/120分/アラビア語
非力な犠牲者としか見なされない女性たちをエンパワーメント
Sira ※日本初公開
フラニの女性シーラとその一族は、キリスト教徒の婚約者家族のもとへ向かう途中、イスラム武装組織に襲撃される……。非道なジハード主義者に家族と尊厳を奪われた遊牧民女性の、生きるための闘いと復讐を描く物語です。
※本作には性暴力を描いたシーンがあります。
監督:アポリーヌ・トラオレ 2023年/ブルキナファソ=セネガル=フランス=ドイツ/122分/フラニ語、モシ語、フランス語、英語
民族紛争の傷痕を照らす、悲しくも気高い人間ドラマ
Halimin Put ※日本初公開
セルビア人、クロアチア人、ボシュニャク人(ボスニア・ムスリム)の間で交わされた、ボスニア紛争で夫と息子を殺されたムスリム女性の物語です。愛する者を奪われ、心傷ついた人びとの癒えない悲しみが丁寧に描かれます。
監督:アルセン・アントン・オストイッチ 2012年/ボスニア・ヘルツェゴビナ=クロアチア=スロベニア=ドイツ=セルビア/97分/ボスニア語、クロアチア語
<上映作品一覧>
『モーグル・モーグリ』(2020年)監督:バッサーム・ターリク ※日本初公開
『さよなら、ジュリア』(2023年)監督:ムハンマド・コルドファーニー ※日本初公開
『怒れるシーラ』(2023年)監督:アポリーヌ・トラオレ ※日本初公開
『母たちの村』(2003年)監督:ウスマン・センベーヌ ※19年ぶりのリバイバル
『チュニスの切り裂き男(シャッラート)』(2014年)監督:カウサル・ビン・ハニーヤ ※日本語字幕付初公開
『イチジクの樹の下で』(2022年)監督:エリーゲ・セヒリー ※日本初公開
『シリンの結婚』(1976年)監督:ヘルマ・ザンダース=ブラームス ※日本初公開
『ハリーマの道』(2012年)監督:アルセン・アントン・オストイッチ ※日本初公開
『ラナー、占領下の花嫁』(2002年)監督:ハーニー・アブー=アスアド ※劇場初公開
『ギャベ』(1996年)監督:モフセン・マフマルバフ ※25年ぶりのリバイバル
『カシミール 冬の裏側』(2022年)監督:アーミル・バシール ※日本初公開
『神に誓って』(2007年)監督:ショエーブ・マンスール ※アンコール
イスラーム映画祭10
●東京会場
会期|2025年2月20日(木)〜 24日(月・祝)
会場|渋谷ユーロライブ/東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F (ユーロスペース階下)
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●神戸会場
公式サイト
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