ワルシャワでしたい10のこと
ショパン、旧市街、ユダヤ文化、ドーナツホッピング…etc.

月刊TRANSIT/もっと知りたい中欧のこと

ワルシャワでしたい10のこと
ショパン、旧市街、ユダヤ文化、ドーナツホッピング…etc.

TRAVEL&EAT&LISTEN

2025.03.28

5 min read

”Heart of Europe”と呼ばれ、ヨーロッパの真ん中に位置するポーランド。首都ワルシャワは、昔から西と東の人と文化が混ざり合ってきた活気溢れる街。日本からの直行便もあって、ほかのヨーロッパ諸国を旅するにもハブとなる場所です。そんなワルシャワでしたい10のことを集めました。 文化の交差点、ワルシャワを旅してみませんか?

Text:TRANSIT Cooperation:Warsaw Tourism Office

What’s ワルシャワ?

ポーランドの首都ワルシャワは、かつて「北のパリ」とも呼ばれるほどの繁栄を誇った中欧の大都市。1569年にポーランド=リトアニア共和国が建国されると、南部クラクフからワルシャワに政治の中心が移されて首都として歩み始めます。第二次世界大戦では戦場となって大きな被害を受けるも、国民の手によって旧市街が再建されて世界遺産になります。ワルシャワは偉大な音楽家ショパンの故郷でもあって、音楽を感じられるスポットも点在。5年に一度開かれるショパン国際ピアノコンクールの開催地としても知られていますが、日常的に生演奏を聴ける機会が多い音楽の都でもあります。市内にはポーランド最長の大河であるヴィスワ川が流れていて、首都でありつつゆったりした気分も味わえる。歴史から現代カルチャーまで味わえるエネルギッシュな街を歩いてみよう!

© City of Warsaw

ワルシャワでしたいこと!

その1/文化科学宮殿で街を一望する

ワルシャワの街を見渡すべく行ってみたいのが、中心地にそびえ立つ、文化科学宮殿(Pałac Kultury i Nauki)。高さ237m、42階建て、30階の展望台からはワルシャワ市内を一望できるようになっています。1955年に竣工、ソ連のスターリンから社会主義下にあったポーランドへ贈られたため、「スターリンの置き土産」というあだ名も。一見近寄りがたいほどの貫禄があるけれど、建物内には映画館、博物館、レストランやカフェがあって気軽に訪れることができます。足元の〈Bar Studio〉は夜な夜なワルシャワの人たちが集っていたり、冬には無料アイススケートリンクが登場したりと、街の空気を感じられる場所です。

© City of Warsaw

文化科学宮殿はスターリン様式を象徴する建物のひとつ。スターリン様式とは、社会主義の発展と威厳を示すべく、ソ連のスターリンがNYの摩天楼に対抗意識を燃やしたことで建てられた建築群のこと。重厚感のある左右対称な高層建築が特徴。1階にある〈Bar Studio〉のバーもいい。

© Yayoi Arimoto

その2/世界遺産の旧市街を歩く

スタレミアスト(Stare Miasto)は、数奇な運命を辿った“古くて新しい”旧市街です。第二次世界大戦でナチ・ドイツ軍によって徹底的に破壊されて一度は廃墟になってしまいます。戦後は社会主義風の街に再建される都市計画があったものの、ポーランド国民によって見事に中世の街並みを復活させました。修復には、戦時中に建築学科の学生たちが記録したスケッチや昔の絵画、写真などが参考にされて、なんと建物のヒビまで再現。ポーランドの人びとの執念から生まれ変わった街並みは、世界遺産にも登録されています。旧市街の外堀には1944年のワルシャワ蜂起で犠牲者を想ってつくられた少年兵の像があったり、近くにはポーランドが生んだ天才科学者キュリー夫人の生家もあったり……散策しながらワルシャワの歴史を感じることができる場所です。

再建された旧市街が世界遺産に登録されるのは世界でも珍しい例。

©City of Warsaw

ヴィスワ川も近い。川の向こう側は第二次世界大戦中の被害が少なかったエリア。

©City of Warsaw

旧市街の広場には、ワルシャワのシンボルである人魚の像がある。

©City of Warsaw

第二次世界大戦中のワルシャワ蜂起では、大人から子どもまでワルシャワ市民がナチ・ドイツ軍と戦った。

©TRANSIT

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その3/POLIN ポーランド ユダヤ人歴史博物館へ行く

中心部のムラヌフ地区は、元ユダヤ人街で第二次世界大戦中にはゲットーがあったエリア。現在、ここにはPOLIN ポーランド ユダヤ人歴史博物館(POLIN Museum of the History of Polish Jews)が建っています。施設内には、中世から現代までのユダヤの歴史、習慣、信仰、ホロコーストについて展示。実は、ポーランドはかつて欧州内でもっともユダヤ人が多く暮らしていた国のひとつ。博物館名の「POLIN」とはヘブライ語で「住みたい場所」という意味で、ユダヤの人の間でポーランドを指していました。中世のポーランド国王は欧州で差別されることもあったユダヤ人を受け入れ、彼らの技術力や労働力とともに国を繁栄させてきた歴史があり、縁の深い国なのです。第二次世界大戦中は、ナチ・ドイツ軍によってポーランド国内や欧州諸国からユダヤ人が集められて、アウシュビッツ=ビルケナウ絶滅収容所などに送られ、多くの犠牲者が出た国でもあります。ポーランドと世界のユダヤのことを知るうえでも貴重な博物館です。

フィンランドのLahdelma & Mahlamäki が設計したモダンな建物。ユダヤの教会、シナゴーグが再現された展示もある。

© Yayoi Arimoto

その4/ショパンの故郷で音楽を聴く!

ポーランドが生んだ天才ピアニスト&作曲家といえば、フレデリック・ショパン。ショパン一家が暮らしたこともあるワルシャワ大学、ショパンの心臓が眠る聖十字架教会、彼の名を冠した名門国立音大・ショパン音楽大学など、市内にはショパンゆかりの場所が点在しています。そんな音楽の都ワルシャワへ来たならば、生演奏も楽しみたいところ。気軽に音楽に触れられるのが夏のワジェンキ公園(Park Łazienkowski)。毎年5月から9月の日曜日にショパン像のある屋外広場で無料のピアノコンサートが開かれていて、ショパンの名曲が聴けます。また本格的に楽しみたいならポーランド国立フィルハーモニー(Filharmonia Narodowa)へ。5年に一度開かれるショパンコンクールの本選会場としても知られていて、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演やゲスト公演が行われています。ドレスアップして、雰囲気を含めて楽しみたいところ。またポーランドはクラシックだけでなくジャズも盛ん。夏は旧市街でジャズフェスティバル「JAZZ NA STARÓWCE」が無料で開催されている。名門の音楽クラブ〈ジャスミン(Jassmine)〉もぜひ訪れてみて。それぞれの施設やイベント情報は各HPで確認を。

夏の間に開かれるワジェンキ公園の無料ピアノコンサート。

©City of Warsaw

ポーランド国立フィルハーモニー。席種や公演内容にもよるが、35PLN〜(1300円〜)ほどで聴ける場合も。

©Yayoi Arimoto

毎年7〜8月頃にワルシャワの旧市街で開かれる無料のジャズフェスティバル「JAZZ NA STARÓWCE」。

©City of Warsaw

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その5/ヴィスワ川沿いを散歩する

ヴィスワ川(Wisła)は街一番の癒やしスポット。街の人は夏になるとビーチ感覚で日光浴&涼みに訪れます。川沿いは道が整備され、サイクリストや犬の散歩を楽しむ人が行き交っていたり、砂場&水場と遊具もあって子どもたちのいい遊び場に。レストラン、バーが点在しているので、店でご飯を楽しむもよし、食材を買い込んで川沿いの階段でピクニック気分で味わうもよし。ちなみにこのワルシャワのヴィスワ川にはバルト海からやってきた人魚が棲んでいたという伝説があって、街に危険が訪れたときには剣と盾を持って人魚が守ってくれるそう。街の人たちを休息させてくれるくつろぎスポットです。

ポーランド最長のヴィスワ川。ポーランド南部の山にはじまりバルト海へ流れ出している。ワルシャワだけでなく、クラクフ、トルン、グダンスクなど主要都市を通る。

©City of Warsaw

ビーチのようにくつろぐ人びと。

©City of Warsaw

以前は川沿いは人が寄りつかないエリアだったが、今は夏になると日中から夜まで賑わっている。

©City of Warsaw

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その6/ワルシャワ大学図書館の屋上庭園でのんびり

ヴィスワ川沿いにあるワルシャワ大学図書館(Biblioteka Uniwersytecka w Warszawie)には、実はヨーロッパのなかでも最大規模の屋上庭園があるんです。春から秋まで開放されていて、学生以外に市民も旅行者も自由に利用できるようになっています。展望台からはヴィスワ川にかかる橋やワルシャワのスカイラインを見渡すことができたり、地元の人たちは軽食を持ってきてピクニックをしたり、キャッチボールをしたり、読書したり……こんな場所があったら住みたくなってしまうなと思えるようなのんびり空間ですよ。街の喧騒に疲れたら、ここでひと息つくのも贅沢な時間。

屋上庭園だけでなく地上レベルにも公園が広がっている。

© Yayoi Arimoto,©︎TRANSIT

その7/市場でローカルと一緒にお買い物

現代的なスーパーマーケットもたくさんあるけれど、ワルシャワ市民は昔ながらの市場で日々の買い物をするのも大好き。旬の野菜や果物、ハーブ、チーズ、卵、牛乳、肉、ソーセージ、パン、お菓子、花……が手に入ります。老舗市場ではハラ・ミロフスカ(Hala Mirowska)がおすすめ。とくにポーランド名産のハチミツは、種類がたくさんあって安くておいしくてお土産にもいい。ほかにも、センベック・バザール(Szembek’s Bazaar)周辺の露店や、エコロジカルな食材、地域産の食材が手に入るビオバザール(Bio BAZAR) もチェックしてみよう。それぞれの営業日はHPから確認を!

老舗市場ハラ・ミロフスカ。

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ポーランド名物のハチミツがずらり。

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隣にも市場があって買い物しやすい。昔ながらのお菓子店も。

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スーパーマーケットもある。

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その8/ナチュラルコスメをゲットする

実は、ポーランドはナチュラルコスメ大国! ポーランドのドラッグストアやモールの化粧品売り場に行くと、ポーランド発のコスメ商品が多いことにきっと気がつくはず。街の人にその理由を尋ねてみると、農業国だからいい素材がある、美容意識が高い国民性(ちなみにアメリカの化粧品ブランド〈ヘレナ・ルビンスタイン〉の創業者はポーランド出身)、自国製品を愛していてポーランドブランドがあったら買うから需要が高い(コスメに限らず農作物、食材、工業製品も)……などいろんな意見が。よく見かけるのがグダンスク発の〈ジャヤ(Ziaja)〉。乾燥肌にいいヤギミルクのシリーズが充実。インディペンデントなポーランドのコスメブランドを発掘したいと思ったら、エレクトロニア・ポウシェ(Elektrownia Powisle)のモール内にある、ポーランドのナチュラルコスメを専門に扱っている〈Polish Nature Beauty Bar〉を覗いてみよう。

街のドラッグストア、空港内の化粧品コーナーでもポーランド生まれのナチュラルコスメを見つけることができる。

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モールのエレクトロニア・ポウシェにある〈Polish Nature Beauty Bar〉。

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その9/ポーランドのカルチャーを感じる

ワルシャワの若い人たちが口々におすすめしてくれたのが、ザヘンタ国立美術館(Zachęta National Gallery of Art)。ポーランド国内や海外の著名なアーティストの企画展示をしている現代美術館で、「Zachęta」というのは、ポーランド語で「励ます」という意味。1860年にワルシャワで設立された美術奨励協会の名前が由来になっていて、現代アートを扱いつつもその歴史は古い。マグダレーナ・アバカノヴィッチ、タデウシュ・カントル、カタジナ・コブロ、ヘンリク・スタジェフスキといったポーランド作家の展示が行われています。アートに関する書籍・雑誌を揃えた図書館やミュージアムショップもあるので、ふらりと立ち寄ってみるのもいいかも。また本の出版やイベントも企画されている書店〈Księgarnia i Kawiarnia Wydawnictwa Czarne〉もいい。2階には喫茶店もあって、コーヒーやレモネードを飲みながらゆっくりできる。

ポーランドのアーティストを中心に扱っている現代美術館のザヘンタ国立美術館。

© City of Warsaw

書店〈Księgarnia i Kawiarnia Wydawnictwa Czarne〉。

© Yayoi Arimoto

その10/ポーランドのドーナツ「ポンチキ」を食べる

甘いもの好きならば、ドーナツ好きならば、ぜひ試してほしいのが「ポンチキ(Pączki)」。小麦の生地をふんわり揚げた穴のないポーランド版ドーナツ。中にジャムが入っていたり、外に砂糖がまぶされていたり。見た目も実際に食べても甘いけど、不思議とペロリと食べられて、エネルギーチャージにもぴったりです。ローカルが愛するポンチキのお店をピックアップしました!
 
 
〈Zagoździński〉 
1925年創業の老舗ポンチキ専門店。古いレシピを参考にしていて、天然素材を使用&伝統的なラードで揚げている。
 
●〈Blikle〉
ワルシャワで最古、1869年創業の菓子店。伝統的なポンチキはもちろん、ケーキやパイまで職人技が詰まっていて、ポーランドらしいお菓子に出会える。
 
●〈BAJA wegańska cukiernia〉
ヴィーガンフードを扱うこちらのお店では、伝統的なポンチキと同じくらいおいしいポンチキが食べられる。
 
●〈Lukullus〉
ポップ&かわいい(そしてもちろんおいしい!)ペストリーショップ。こちらでも盛り付けが美しいポンチキがいただける。

© City of Warsaw

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Yayoi Arimoto

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