“東洋の真珠”とも呼ばれる、タイ最大の島・プーケット。美しいビーチはもちろんのこと、古くから中国、ポルトガルの人びとが行き来してきた場所でもあって、西と東のムードが混ざり合う街歩きも楽しい。そんな自然と街をのんびり自分のペースで楽しめるプーケットの歩き方について、バンコクに暮らす編集ライターの平原千波さんに訊いてみた!
Text:Chinami Hirahara
アンダマン海に浮かぶタイ最大の島・プーケットは、“東洋の真珠”と称される、タイを代表する美しいビーチリゾートです。エメラルドに輝く透明な海と白砂のビーチでは、海水浴やマリンスポーツをとことん楽しむことができます。実は、海だけではなくて陸の自然もいいんです。島の約77%を占めるジャングルではトレッキングやハイキングで大自然を満喫することができます。
街に出れば、中国とポルトガルの文化が融合するオールドタウンが広がります。眠らない繁華街では夜遅くまで活気あるナイトライフをたっぷり堪能することもできます。自然も文化もどちらも味わえるのが、プーケットならではの魅力なんです。
プーケットでしたい10のこと!
なんと主要なビーチだけで島内に約30カ所もあるプーケット。人気No.1のビーチといえばパトンビーチ。海水浴、マリンスポーツが楽しめるほか、大型ショッピングセンターやプーケット随一の繁華街があるのもこのエリアで、常に世界中からの旅行者で賑わいます。
落ち着いた雰囲気を求めるなら、約3.3kmものビーチがつづくカロン・ビーチ、海の透明度が高いカタビーチがおすすめです。観光客が少ない穴場ビーチを狙うなら、南部に位置する白砂のナイハーンビーチ、色とりどりの熱帯魚が見られるシュノーケルスポットでもあるヤヌイ・ビーチへ。西部に位置ずるカマラビーチは、夕暮れ時は海と空がピンク色に染まるサンセットポイントとして知られています。
プーケットでサーフィンを楽しめるのは、モンスーンの影響で波が高くなりやすい5~10月の雨季。波が比較的安定している南部のカロンビーチは、初心者から中級者におすすめです。波質のよさで定評のあるカタビーチは中級者向けで、多くのサーファーに支持されています。これらのビーチにはサーフスクールやレンタルショップも充実。ビーチブレイクが中心で安全性も高いため、リゾート気分のなかでサーフィンに挑戦できます。
プーケット島の最南端に位置するプロムテープ岬は、タイでもっとも美しい夕日が見られる場所として知られる絶景スポットです。空と海をオレンジからピンクへと染めながら、アンダマン海のはるか彼方へ沈んでいく夕日は、訪れる人びとの心を強く魅了します。
また、ここは“パワースポット”としても知られており、岬の頂上には灯台と、ヒンドゥーの創造神ブラフマーを祀る祠「プラ・プロム」があります。願いが叶った人びとによって奉納された数多くの象の置物から、その霊験あらたかな力を感じ取ることができます。
オールドタウンは、19世紀後半に錫の国際貿易で栄えたプーケットの歴史ある中心地。福建省などから移り住んだ中国系移民が、ポルトガル建築の影響を取り入れて発展させた独自の「シノ・ポルトギース様式」の建物が立ち並びます。ピンクやイエロー、グリーン、ブルーなど色とりどりのファサードやアーチ型の窓、装飾的な木製扉などがその特徴です。中心部のタラン通りやディブック通りには、こうした古い建物を利用したおしゃれなカフェやレストラン、ギャラリーが並び、お散歩やショッピングが楽しいエリアです。
オールドタウンの顔ともいえるのが、1927年開業のシノ・ポルトギース様式の歴史あるホテル〈The Memory at On On Hotel〉。映画『ザ・ビーチ』の中で、レオナルド・ディカプリオ演じる主人公リチャードが宿泊した安宿として登場したことはあまりに有名です。実際に撮影に使用された部屋は「204号室」ですが、現在は美しく改装され、アンティークのインテリアを設えたレトロでノスタルジックな空間に。
また、プーケットを舞台にしたタイの大ヒットBLドラマ『I Told Sunset About You』のロケ地としても知られる映画・ドラマファン垂涎のスポットです。
タイ、中国、イスラム文化などが入り混じったプーケットには、独自の名物料理が数多くあります。中国福建省からの中国系移民によってもたらされた「ホッケンミー」は、太めの中華麺を豚肉やシーフード、卵とともに炒めた福建風焼きそば。豚バラ肉を醤油、五香粉などで煮込んだ甘辛い角煮風の「ムーホン」も福建系移民の影響を受けた料理のひとつ。海鮮、タロイモ、卵、もやしなどを炒めたカリモチ食感が特徴のオータオは、プーケット発祥のご当地グルメとして見逃せません。デザートには、イチジクの一種の植物の種からつくられたゼリーを入れた名物かき氷「オーエオ」をぜひ。さっぱりした甘さが南国の暑さを和らげてくれます。
マングローブの森の中にひっそりと佇む〈モー・ムー・ドン〉。川にせり出すようにして簡素な小屋のような店舗ながら、「本物の南部料理を食べるならココ!」と地元民が絶賛し、ミシュランのビブグルマンにも選ばれてる名店です。看板メニューは、タイ南部の酸っぱ辛い魚のカレー「ゲーンソムプラー」、魚のすり身やハーブを魚の腹に詰めた「プラーヤッサイ」など。また、ロングテールボートでアクセスするココナッツ島の水上シーフードレストラン〈クルーウィット・ラフト〉は、360度オーシャンビューのなか、新鮮なシーフードが楽しめます。
© ©Chinami Hirahara
モームードン
営業時間
定休日
シャロンビーチとカタビーチの間の丘の上にそびえ建つ、45mもの高さを誇る「ビッグブッダ」は、プーケットのランドマーク的存在。1万個以上もの真っ白な大理石で覆われ、穏やかな笑みを讃えた仏像は、願いが叶うパワースポットとしてもおなじみです。「ワット・チャロン」の名で知られる「ワット・チャイタララーム」は、プーケットでもっとも信仰を集める寺院で、美しい仏塔の中には、仏陀の異物が祀られています。中華移民が多いプーケットはオールドタウンで中華寺院が多く点在し、とくに毎年10月頃に行われるベジタリアン・フェスティバルの会場となる「ジュイ・トゥイ神社」は有名です。
プーケット南部のシャロン地区にある、タイ初のクラフトラム蒸留所〈シャロンベイ・ラム醸造所〉。100%タイ産の無農薬サトウキビを使用し、フランス伝統の銅製蒸留器で丁寧に蒸留する“アグリコール製法”を採用し、雑味のないクリアで香り高いラムが楽しめると評判です。製造工程やこだわりについて学べる見学ツアーのほか、オリジナルカクテルづくりが体験できるワークショップ(要予約)も。併設のレストラン&バーでは、南国の庭を眺めながら、ラム酒と相性抜群の創作料理が楽しめます。ラムの概念が変わるような、特別な体験をぜひ。
シャロンベイ・ラム醸造所
公式HP
プーケット周辺には、美しい離島が点在しています。なかでも映画『ザ・ビーチ』の舞台となったピピ島は、切り立つ崖と白砂の入り江が印象的な秘境。乾季(11~5月)限定で訪問できるシミラン諸島は、視界30m超の透明度を誇る海で、ダイバー憧れのスポット。ウミガメやマンタ、ジンベエザメに出会えることも。また、サンゴ礁が広がるコーラル島や、野生のイルカと遭遇できるマイトン島など、15~30分で行ける近場の島々も見逃せません。
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© Kazuyo Kawatoko
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